2012年07月21日

Posted by 沖縄かりゆし不動産
at 11:20
Comments(1)

不動産売買の基礎知識

契約解除時に手付金は戻ってくる?

Yahoo!●●袋などのQ&Aサイトで、「契約時に支払った手付金、もし銀行の審査が通らなかったら帰ってくるのでしょうか?」という質問を時々みかけます。
しっかりした回答がついていることもあれば、「え?」と思わず疑問が浮かぶ回答がついていることもありますので、ここで整理してみたいと思います。

ちなみに、この質問の答は「契約書に特約で明記されていたら返ってきますよ」ということになります。
詳しく見ていきましょう。

契約の流れは?

不動産の売買で、どうして手付解除が問題になるのかを考えるために、売買の流れを見てみましょう。雑貨品など少額の物品を購入する場合には、代金の支払いと商品の引き渡しは同時履行となります。しかし、不動産の場合は以下のような流れになります。

契約解除時に手付金は戻ってくる?

まず契約をして、その時に「手付」を支払います。その後銀行の手続き(審査など)を経て、銀行からの決済が実行される時(残金決済時)に物件の引き渡しを受けます。

ここで気になるのが「契約時に手付金を支払うけれど、銀行の審査で万が一『お金を貸せませんでした』といわれた場合、払った手付を返してもらえるのか?」という問題です。

手付とは何か?

手付について、民法の第557条は以下のように定義しています。

①買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。

そうすると、何も考えずに契約書に何も書かなかったとしたら、銀行ローンが通らなかった場合の契約解除は「買主はその手付を放棄し……契約の解除をすることができる」という、手付解除になってしまいそうです。したがって、「何の手も打たなかったら、手付金は返ってこない」ということになります。

そこで、通常は契約書に「ローン条項」と呼ばれる特約を付します。
ローン条項は、大雑把にいって、「もし銀行のローン審査が通らなかったら(ローンが組めなかったら)、契約を白紙撤回して、売主は買主に手付金を返還しますよ」という内容になっています。

このローン条項が付されていればひとまずは安心なのですが、中身についても少し考えておきましょう。

ローン条項はどこまで細かく取り決めるべきか?

ローン条項は買主様のためにあると考えられるので、とくに買主様の立場で契約に臨む際、できれば細かい点もローン条項に定めておきたいものです。
たとえば、「残金1500万円については、○○銀行△△支店より融資を受けて支払うものとする。ただし、売主の責めに帰する事由がないにもかかわらず、約定の期日までに融資が行われなかった場合には、本契約は自動的に解除され、売主は買主に受領した手付金の全額を無利息にて返済するものとする。」というように、どの銀行のどの支店で借りるかまで明確にしておいた方が確実です。

銀行名などを確定しておかないと、万が一ローンが通らなかったときに、「利率の高い金融機関で借りて、とにかく残金を支払ってください」といわれた場合に、大変不利になってしまいます。



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この記事へのコメント

お久しぶりです。

今回も大変勉強になりました。ありがとうございます。

Posted by ぽんぽこりんぽんぽこりん at 2012年08月26日 15:38
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