2014年12月12日

Posted by 沖縄かりゆし不動産
at 17:26
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不動産売買の基礎知識

固定資産税の分担起算日、なぜハッキリしてないの?

固定資産税の分担起算日、なぜハッキリしてないの?

知り合いの不動産業者さんと話をしていて、固定資産税の按分の話になりました。
固定資産税の按分とは、不動産の売買にともなってその年の固定資産税を売主さん、買主さんで分担すること。
つまり、売買(実際には所有権移転の日とする事が多いです)の日を境に、その日の前までを売主さんが負担するわけです。残りの固定資産税は、買主さんが負担します。

一般的に、仲介業者が日割り計算して計算書を用意しておきます。
たとえば、10月1日に売買(所有権移転)したとしたら、

売主 273日分 (1月~9月)
買主 92日分  (10月~12月)

と計算する場合が多いです。

これは1月1日を起算日として、1月から9月を売主さん、10月から12月を買主さんとしているわけです。
しかし、これと異なった意見もあります。

4月1日起算日でしょ説


実は固定資産税は、1月1日時点での所有者が、4月1日から始まる年度分の納税義務者となると決められています(地方税法§343、§359)。なので、4月1日が起算日じゃないのか? という考え方もあるのです。そうすると、売主・買主の分担は以下のようになります。

売主 183日分 (4月~9月)
買主 182日分 (10月~3月)

これは、ずいぶん変わってきますね。
那覇新都心の大型物件なんかであれば、10万円単位で負担額が変わってきそうです。

では、どちらが正解なのか?


正解がない、というのが結論なのです。
冒頭の業者さんとのやりとりはそれが原因。この業者さんは、お客さんから「1月1日起算日はおかしいんじゃないの?」と食い下がられたことがあるそうなのですが、「それに対して明確に返答するの、難しいよね」と言っていたのです。

たとえば首都圏では、1月1日起算日とする場合が多いようです。
関西圏では4月1日起算日とするケースも多いと聞きます。
そして、沖縄では、1月1日起算日の場合が多いですね。

某市役所の税務課の方とミーティングしたついでに、この件を聞いてみたところ「うーん、役所としては私契約上の問題には口を出せないので、どちらが正しいか判断できないですね」との返答。
では、どうして1月1日が賦課期日なのに、4月1日からの年度分の税金を徴収するという、2つの日付が混在しているかについては、「1月1日起算日で1月に税金の納付書を送るとしたら、間に合わないからでしょうね。事務手続きの時間を考えたら、4月じゃないと間に合いません」との回答をもらいました。

これが本当に行政の手続き上の問題で4月から課税されているとしたら、1月1日を起算日とする方がすっきりしそうな気もします。すなわち、1月1日が本当の賦課期日、4月1日は便宜上の日付、というわけですが、いかがでしょうか?

ただし実際には、民法の契約自由の原則からしても、当事者間の合意が優先すると考えられます。
そのため、こういう細かい点も揉めないように、あらかじめ売主・買主間でしっかりと話し合って合意しておくことが重要(というか仲介業者がそこをちゃんと確認することが最重要)ではないかと思います。




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