2014年12月12日
固定資産税の分担起算日、なぜハッキリしてないの?
知り合いの不動産業者さんと話をしていて、固定資産税の按分の話になりました。
固定資産税の按分とは、不動産の売買にともなってその年の固定資産税を売主さん、買主さんで分担すること。
つまり、売買(実際には所有権移転の日とする事が多いです)の日を境に、その日の前までを売主さんが負担するわけです。残りの固定資産税は、買主さんが負担します。
一般的に、仲介業者が日割り計算して計算書を用意しておきます。
たとえば、10月1日に売買(所有権移転)したとしたら、
売主 273日分 (1月~9月)
買主 92日分 (10月~12月)
と計算する場合が多いです。
これは1月1日を起算日として、1月から9月を売主さん、10月から12月を買主さんとしているわけです。
しかし、これと異なった意見もあります。
4月1日起算日でしょ説
実は固定資産税は、1月1日時点での所有者が、4月1日から始まる年度分の納税義務者となると決められています(地方税法§343、§359)。なので、4月1日が起算日じゃないのか? という考え方もあるのです。そうすると、売主・買主の分担は以下のようになります。
売主 183日分 (4月~9月)
買主 182日分 (10月~3月)
これは、ずいぶん変わってきますね。
那覇新都心の大型物件なんかであれば、10万円単位で負担額が変わってきそうです。
では、どちらが正解なのか?
正解がない、というのが結論なのです。
冒頭の業者さんとのやりとりはそれが原因。この業者さんは、お客さんから「1月1日起算日はおかしいんじゃないの?」と食い下がられたことがあるそうなのですが、「それに対して明確に返答するの、難しいよね」と言っていたのです。
たとえば首都圏では、1月1日起算日とする場合が多いようです。
関西圏では4月1日起算日とするケースも多いと聞きます。
そして、沖縄では、1月1日起算日の場合が多いですね。
某市役所の税務課の方とミーティングしたついでに、この件を聞いてみたところ「うーん、役所としては私契約上の問題には口を出せないので、どちらが正しいか判断できないですね」との返答。
では、どうして1月1日が賦課期日なのに、4月1日からの年度分の税金を徴収するという、2つの日付が混在しているかについては、「1月1日起算日で1月に税金の納付書を送るとしたら、間に合わないからでしょうね。事務手続きの時間を考えたら、4月じゃないと間に合いません」との回答をもらいました。
これが本当に行政の手続き上の問題で4月から課税されているとしたら、1月1日を起算日とする方がすっきりしそうな気もします。すなわち、1月1日が本当の賦課期日、4月1日は便宜上の日付、というわけですが、いかがでしょうか?
ただし実際には、民法の契約自由の原則からしても、当事者間の合意が優先すると考えられます。
そのため、こういう細かい点も揉めないように、あらかじめ売主・買主間でしっかりと話し合って合意しておくことが重要(というか仲介業者がそこをちゃんと確認することが最重要)ではないかと思います。
※会員のみコメントを受け付けております、ログインが必要です。