2011年01月15日

Posted by 沖縄かりゆし不動産
at 18:16
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買ったお家の屋根裏に、大量のコウモリが! 責任の所在は?

宅建業を営んでいると、時々講習に参加させられます。
めんどくさいではありますが、なかなか勉強にもなります。
今日は、そんな講習会のテキストに載っている裁判例のお話でも…。

築8年の中古住宅の屋根裏に多数のコウモリが生息。買い主は損害賠償請求できる?

買ったお家の屋根裏に、大量のコウモリが! 責任の所在は?買主Aは、仲介業者Bの紹介で、売主Cから築8年の中古住宅を購入しました。
ところが、買主Aは入居まもなく本件建物の屋根裏に多数のコウモリが生息していることを発見! 調べてみると屋根裏に夥しい量の糞も堆積していました。

買主Aはこの事実について「隠れた瑕疵」に該当するとして、コウモリの駆除費用について売主Cに対して瑕疵担保に基づく損害賠償を請求。また、業者Bに対して業務上の注意義務を怠ったことによる損害賠償を請求しました。

【ここでの問題点】
屋根裏にコウモリが生息することが建物の瑕疵といえるか?

売主さんはアウト!

本件について、神戸地裁の判決では、売主Cに対する瑕疵担保に基づく請求を認めました。
どうやら、売買契約締結の約4年前からコウモリは生息していたようなのです。コウモリは害獣でこそないですが、一般的には不気味なイメージですし、糞尿も夥しく、一般人の感覚に照らしても本件建物は買主Aの支払った売買価格に見合う清潔さや快適さを備えたものとは言えないので、瑕疵に該当する、というのが判決の理由です。
したがって、売主Cは買主Aに対して、駆除に要する費用約112万円を損害賠償として支払うことになりました。

ポイントは、「瑕疵担保責任」は無過失責任であることです。
ですからコウモリについて売主に何らかの過失がなくても、また売主がコウモリの存在を認識していなかったとしても、責任を問われてしまいます。

ここではコウモリの事例ですが、これがシロアリだったら…。
もっとリアリティーがあると思います。
お家を売る場合、このようなリスクを考える必要もありそうです。

仲介業者はセーフでしたが…

業者Bについては、本件売買に至るまでの担当者の行動を検討してみても、コウモリの存在を疑うべき事情もなかったこと等から考えて、業務上の注意義務を怠ったとは考えられない、と判示されました。

ただ、もし業者がコウモリの存在を知っていたり、あるいは容易にその存在を知り得るような場合は、媒介業者の調査説明義務違反を理由に、何らかの損害賠償責任が生じる可能性もあります。

コウモリだとさすがに気づかない場合も多そうですが、シロアリなどは、通常はまっさきに調べる点です。普通の業者さんであれば売主さんとの面接や現地調査時に、確認をしているはずです。ですので、シロアリを見逃したら…業者としては言い逃れしにくいと思われます。

というわけで、もし不動産の売却を依頼したら、宅建業者から面倒なことをいろいろ尋ねられると思いますが、ぜひご協力を。







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