2011年01月17日
住宅にもクーリングオフ制度がある!?

実は、不動産についてもクーリングオフ制度が定められています。といっても、何でもかんでもクーリングオフできるわけではありません。
もっとも、不動産以外のクーリングオフ制度も、何でもかんでもクーリングオフできるわけではないのです。そこで、クーリングオフについてざっと概観してみたいと思います。
通常のクーリングオフ(クーリングオフ制度全般)
クーリングオフ(Cooling off)は和製英語です。無理に訳すとしたら「(頭を)冷やす」という感じ。
法制度としては、購入者(申込者)が一定期間、無条件に申し込みの撤回または契約解除できるという内容です。
これはいったいどんな法律のどの条文に書かれているのかというと、実はいろんな法律のあちこちに書かれているのです。
一般的な無店舗販売を規定する「特定商取引に関する法律」や「割賦販売法」のほか、「ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律」、「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律」、「保険業法」などに、個別に規定されています。
すなわち、通常の通信販売やネット販売は、クーリングオフ対象外です。
この点、たまに混同されている場合があるので要注意です。
訪問販売など、特に指定されている場合にのみ、クーリングオフ制度の対象となります。
不動産のクーリングオフ
不動産についてのクーリングオフ制度は、宅地建物取引業法に規定されています。
この場合も要件が決まっています。
①売主が宅建業者である
②「事務所等」以外の場所で契約を締結した
このような場合、宅建業者からクーリングオフ制度について告げられたその日から8日以内に限り、書面で通知すれば無条件で契約の解除が可能です。
しかし、物件の引渡しを受けかつ代金を全部支払ったときは解除ができなくなります。
余談
クーリングオフ制度は、消費者が自宅に訪問を受けて不意の勧誘をされた場合など、自らの意思がはっきりしないままに契約をしてしまった場合を想定して、そのような意思表示をした消費者を保護するために設けられた規定です。
ですから、不動産売買でも、「事務所等」以外の場所で契約をした時に限り、クーリングオフできることになっているわけです。
昔(たぶんずいぶんバブリーだった時代?)は、不動産業者が消費者を旅行についれていき、旅先の旅館などで(たぶん宴会で盛り上がってる時なんかに)契約を迫ったこともあったそうです。
行楽地で盛り上がってるし、お酒も飲んで調子いいし、「よーし、サインしてしまえ!」という感じになった人もいたのでは?
そこで、このような制度ができたんじゃないかなぁ、と想像しています。
最近はあまりそういう話を聞かなくなりましたが、もしかしたら強引な業者さんがいないとも限りません。
事務所以外の場所(※)で強引な勧誘を受けてハンコをついてしまったら、クーリングオフ制度を思い出してみてください。
※ 事務所等とは、宅建業者の事務所(本社・視点・営業所・店舗など)や、分譲マンションの販売事務所、土地なら10区画・建物なら10戸以上のまとまった分譲物件の特設事務所などを指します。また、買主が「自宅か勤務先で売買契約についての説明を受けることを申し出た場合」には、その場所で契約をしてもクーリングオフできません。
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