2010年12月11日

Posted by 沖縄かりゆし不動産
at 14:43
Comments(5)

不動産賃貸の基礎知識

敷金の清算にまつわる話(2)

敷金の清算にまつわる話(2)前回は敷金の意味について書きましたが、今回は具体的に「敷金から差し引かれるのはどんなもの?」という点について、財団法人不動産適正取引推進機構の冊子『住宅賃貸借(借家)契約の手引き』から、拾ってみましょう。


経年変化と通常損耗

国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』にも書かれているとおり、経年変化や通常損耗は、大家さんが負担すべきものと考えられています。したがって、これらは敷金から差し引かれるべきものではありません。
ちなみに、経年変化とは、建物や設備等の自然な劣化・損耗です。また通常損耗とは、借主(入居者)が使用したら普通に生ずる損耗や劣化です。

具体的には、以下のようなものは、敷金から差し引かれるべきものではありません。

畳の裏返しや表替え、フローリングのワックスがけ、全体のハウスクリーニング、トイレや台所の消毒、浴槽や風呂がまの取替え(破損していないが次の入居者確保のために行うもの)、家具の設置による床やカーペットのへこみ跡など、畳の変色やフローリングの色落ち、タバコのヤニ(クリーニングで除去できる程度のもの)、テレビや冷蔵庫裏側の壁の黒ずみ、ポスターや絵画の跡、エアコン設置による壁のビス穴、クロスの変色、鍵の取替え(紛失・破損の場合を除く)……など。

注意義務違反などによる損耗

一方、借主(入居者)は、民法上の保管義務や注意義務を負います。つまり、故意や過失によって建物を損傷した場合や通常の使用を超えるような使用によって損耗した場合には、その部分の原状回復義務を負うため、これらの修理費は敷金から差し引かれても文句をいえません。

具体的には、以下のようなものは、敷金から差し引かれることになります。

カーペットなどに飲食物をこぼしたことによるシミ・カビ、台所の油汚れ、結露を放置したことにより拡大したカビ・シミ、エアコンから水漏れして放置したことによる壁の腐食、ガスコンロ置き場や換気扇の油汚れ、風呂・トイレ・洗面所の水垢やカビ、引越し作業で生じたキズ、不注意によって(雨が吹き込んだなど)できたフローリングの色落ち、キャスター付家具等による床のキズ・へこみ、下地ボードの張替えを必要とする程度の壁の釘やねじ穴、天井に直接つけた照明器具の跡(あらかじめ設置されている照明器具用コンセントを使用しない場合)、飼育ペットによる柱等のキズ、日常の不適切な手入れや用法違反による設備の破損など……。

また、上記に該当する場合でも、長い間住んでいたら減殺されることもあります。

以下の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」も参考になりますので、一読されてはどうでしょう?

「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン(pdf)」



同じカテゴリー(不動産賃貸の基礎知識)の記事
 引越し(退去)の際に気をつけたいこと (2011-02-04 12:06)
 賃貸物件の「申込金」、契約しなかったら返還されるべき? (2011-01-22 12:13)
 賃貸不動産探しの考察、「どこで決断するか?」 (2011-01-12 10:33)
 カーペットの破損は、敷金から引かれる!? (2010-12-28 11:55)
 家賃の振り込み手数料は、負担しないといけない? (2010-12-24 10:02)
 借りている部屋・家の修繕は誰が負担するの? (2010-12-20 15:14)





この記事へのコメント

こんにちは、

そういえば、「礼金」なども、昔(最近まで)
あったそうですが、(まだあるかもね、)

これは、単純に戻ってこないお金と思っていましたが、
ほんとは、なんに使われるお金でしょうか?

Posted by ぽんぽこりんぽんぽこりん at 2010年12月11日 15:58

ぽんぽこりんさん、こんばんは。

礼金が必要な物件は、いまでもときどきありますね。
この礼金は、べつだん法的に根拠があるお金ではなく、習慣的に大家さんに支払っていたお金のようです。

といっても、ふつうは賃貸借契約書に明記されていますので、契約をした以上払わないといけないわけですが…。

ウィキペディアによると、「礼金は、地方から大都会(東京)に一人でやってきた単身赴任者・学生等の援護のために、上京した人の親戚が東京の下宿などの大家に払った現金が由来といわれる。上京する人に大都会に知り合い・親戚がいない場合に、いざとなったときには大家に面倒を見てもらえるようにと、『前もっての感謝』という意味でお金を払った。そのお礼の意味で、『礼金』と呼ばれるようになった。」のだそうです。

不便な時代に、大事な人を思う気持ちから払ったお金が、習慣として定着してしまったみたいですね。

というわけで、「なんに使うお金か?」というと、本来は大家さんが入居者の面倒をみることを頼まれたお礼金であって、大家さんの自由に使えるお金のようです。

沖縄の場合は近くに親戚がいることが多いので、単なる「本土の風習」として入ってきてしまったものかもしれません。

最近は大家さんもいろいろと大変みたいなので、あんまり大きな声ではいえませんが……本来なくてもよいお金、ということは言えるかもしれません。

Posted by ファイナンシャルハウス株式会社 at 2010年12月11日 18:42

足跡ありがとうございます^▽^ファイナルさんは、不動産を扱っておられるのですか?自分は、今はヘルパーですけど、将来的には弁護士を目指しを目指してるのでいろいろ教えてくださいね^^

Posted by ぶーぶーちゃんぶーぶーちゃん at 2010年12月13日 08:29

ぶーぶーちゃんさん、こんにちは。

弁護士さんを目指す方に、教えられるほどの知識はありません(汗)。
宅建主任者なら、当社スタッフ2名が日●学院で講師をしていますが……。

あ、あと風水も…。

Posted by ファイナンシャルハウス株式会社ファイナンシャルハウス株式会社 at 2010年12月13日 13:00

大変、勉強になりましたm(_ _)m

また、次を楽しみに来ます 

では

Posted by ヒトシヒトシ at 2010年12月13日 13:13
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

pagetop▲